Kimiko Sekiguchi

English/Japanese

(update : 2024.1.23)

 


  




   こんにちは。関口仁子です。私の専門は原子核物理学(実験)です。研究テーマは、原子核を形作るチカラである核力を実験的に解明すること。特に、三つの核子が同時に作用する時に働く三体力(三体核力)に興味を持っています。

   原子核の中では、数多くの陽子と中性子(総称して核子と呼びます)が非常に狭い領域に閉じ込められています。その中で働く核力は,これまで湯川秀樹によって提唱された中間子交換理論を基礎に、2つの核子の間を中間子という粒子を交換することで説明される2体力として理解されてきました。近年、実験・理論双方の研究の飛躍的な進展により、核力の理解が大きく変わりつつあります。その中の最重要課題の一つが「三体核力」です。

     三体核力は,3つの核子間で相互作用する核力です。理論的には、1957年に発表された藤田・宮沢型三体力などが予言されていたのですが、実験による検証が難しい状況が続いていました。この状況を変えるきっかけとなったのが、我々のグループによる重陽子・陽子弾性散乱の高精度測定による三体核力効果の発見でした(実験は、理化学研究所加速器施設において実施)。以後、三体核力に関する研究は、重陽子・陽子散乱の枠を超え、元素合成の解明に必要な中性子過剰核などの性質,また超新星爆発や中性子星と密接な関わりをもつ高密度核物質へと展開されつつあり、その重要性が注目を浴びています。即ち三体核力の理解は、未解決の宇宙・天文物理の重要問題と直結しているともいえるでしょう。

 原子核の様々な現象において三体核力の果たす役割が注目される中、私のグループでは、少数系散乱から三体核力を実験的に明らかにする研究を推進しています。この様な真空系における三体核力研究の面白さは、三体核力そのものの”生”の情報が得られること、またクォークが核力の中でどのようなダイナミクスを持つのか、ということに直接触れられることだと思います。実験結果を理解するためには、もちろん理論研究との共同研究は欠かせません。しかし、どちらが優位、とかいうこともありません。実験と理論の両側面から新しい核力の姿を明らかにしていくプロセスは非常に楽しいものです。私はこの研究を通して、最終的に、宇宙の成り立ちを統一的に説明する、そういう場 (field) を築くことを目指しています。

Introduction


Name :

関口仁子

Major :

原子核物理(実験)

Affiliation :

東京工業大学理学院物理学系

東北大学大学院理学研究科(委嘱)

Status : 

教授

Email : 

kimiko @ phys.titech.ac.jp

Address : 

〒152-8550

東京都目黒区大岡山2-12-1


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